【第2弾】MIRAI47へ大分サムライ見参!

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教育が加速させる「誰もが自己実現できる社会」

どうしたら自分の価値を最大発揮できるのだろう?
どうしたら自分の価値を最大発揮できる大人になるだろう?

日本の社会では、50年前と変わらない詰め込み教育、受験のための勉強という流れが残ったままです。日本の国際競争力が落ち、社会でも社内でも求められている人材が大きく変わっている中「日本の教育は変わる必要がある!」と感じている方も多いのではないでしょうか。

とはいえ、どこから始めたらいいのか、どこを目指して行けばいいのか、という悩みを抱えている方もいるはずです。

第二回となる大分開催では「Go!Action 未来を創る大分サムライたち」と題し、自らの意思と情熱でぞれぞれ「教育」に関わる道を創りあげている3人の大分侍をゲストにお呼びしました。


【上野 真さん】
元教員。現在は教育委員会と大分市教育センターにて活躍中。
「ここ♡好き」「ちるハウス」「竹灯りアート」などご自身の感性を大切にした活動を通し、数多くの人とつながり「好きと言われる大人」を全国に増やしている。


【秋篠 奈菜絵さん】
熊本県出身。大分県豊後大野市在住。6歳と4歳の男の子を子育て中。
教師を6年間務め、2019年3月に退職後、仲間とともに「ここのね自由な学校」というオルタナティブスクールを開校。


【三浦 里芳さん】
大分大学経済学部 社会イノベーション学科2年。
大分県立別府翔青高等学校在学中に、地元企業とのコラボレーションからコーヒー豆の麻袋を再利用したペンケースの開発・販売を経験。クラウドファンディングを通して発展途上国へと文房具セットを送る活動をしている。





【越境型社会を創るMIRAI 47~Go Action! 未来を創る大分サムライたち~】
2020年6月24日 (水) 18:00 – 20:00

▼プログラム
・ゲストトーク「地域社会で今すぐできることを見つけてみよう」
・ホストトーク「Now or Never!? 日本の地域社会の魅力溢れる未来に向けて」
・グループトーク「地域の一人ひとりが社会につながるということ」
・グループトークからのインサイト形成・まとめ




「好き」と言われる大人ができるまで

普段はOIC(Oita Innovation Collegio:コレジオ大分)と教育委員会で働いておられる上野さん。彼は「好きと言われる大人になろう」という1つの大きな想いをベースに3つの活動をしています。

2018年から始まっている「ここ♡好き」活動。たくさんの人が集まり「好き」を共有している。


1つ目の活動は「ここ♡好き」と名付けられた「好きを語れる大人でいよう」がテーマのイベントで、この活動を始めたきっかけは、ご自身がトークイベントに登壇したこと。

登壇者というのは、なんだかみんな「すごい人」に見えてしまうし、そうでなくちゃいけないという感覚があり、聞く側も、そんな「すごい人」の話を聞くことで、逆に「自分ってダメだ…」と劣等感を抱いてしまうことも。

そんなときに湧き上がってきたのが「本当にすごいことしかトークしてはいけないのか?」という疑問でした。

そんな想いから生まれたのが「みんなの好きを聴いて、あなたの好きを語る」というコンセプト。
好きなら誰もが主役になれるし、聞いている人も劣等感を抱かなくてもいい、そして、「好きの輪」で全国をつなぐことができる。
そんな想いから生まれた「ここ♡好き」イベントは、いろいろな人の「好き」をつなげながら、熱い想いをのせて全国へと広がりを見せています。

【「個」が育つその背に憧れ「子」が育つ街へ】をテーマに展開している「チルハウス」


2つめの活動はCIO(コレジオ大分)にて「大分を子育て県にする」というコンセプトから始まった「チルハウス」。
「個が育つその背に憧れ、子が育つ」という想いをベースに、「自分の勉強や成長の時間が持てない」という親とそのこどもを応援するプログラムとなっています。

持続可能な方法をとるために、こども達が過ごす「ちるハウス」は移動式。あるときは公民館、あるときは公園と、オフィスや場所を持ちません。親が体験するプログラムは地元の店舗や企業と企画/連動することで、地元コミュニティの活性化の促進にも。親と子の成長をベースに、地元コミュニティで大きな好循環が生まれています。

全国を巻き込んで開催される竹灯りイベント


3つめの活動は竹灯りアートです。この活動の根底にあるのは「自身が動くことで世界が変わる」というのを身を以て知っているため。

その想いは、大学時代へと遡ります。
当時の上野さんは120kgの巨体で、自分に自信が持てず狭い世界で生きていました。
それが変化したのは24才の時。
一念発起しダイエットに励み65kgまで減量を果たします。
その経過の中で自分自身でつくっていた分厚い壁が少しづつ壊れていき、外の世界と積極的に関わることができるようになっていきました。

この時に「行動が、自分自身の世界を変える」という、その重みを痛いほど知りました。

「行動が、自分自身の世界を変える」ということを伝えたい。
その想いを元に集まった、全国に散らばる「侍」と呼ばれる同士とともに、上野さんは竹灯りで心の火を灯す活動を続けています。
今回は延期になってしまいましたが、東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本全国都道府県での竹灯りリレー「みんなの想火」も始まっています。

MIRAI47の竹灯りアートをサプライズで持ってきてくれた上野さん



「わたしのこたえ」を創る学校

去年退職するまで小学校の教員をされており、6才と4才の男の子のお母さんでもある秋篠さんが運営しているのがオルタナティブスクールである「ここのね自由な学校」。テーマは、こどもの「やりたい!」という好奇心と、「学びたい!」という意欲を、とことん引き出す学び舎です。

教員をしていた秋篠さんと、学校を創ろうと考えて理由を紹介


なぜ教員を辞めてまで学校を作ろうと考えたのか…その背景には、6年間の間に5つの小学校を勤務した経験があります。年々、親も子も学力テストや通知表など、数値化した評価に振り回されているのを現場で実感し、このままでは、こども達の学ぶ意欲がなくなってしまうのではないか、という不安がありました。

そんな時、息子の保育園仲間から「小学校をつくってくれない?」という相談を受けた秋篠さん。「無理!ムリ!無理!」と断ったものの、全国にいろいろな学校があるのを知り、全国のオルタナティブスクールに見学へ出かけました。

そこで感じたのは「教育ってもっと色々な種類があってもいいのかな、他と違っていてもいいのかな。」「自分の近くに選択肢があれば、苦しむ子が減るのかな」という想いでした。

小学校教員もやりがいがあり魅力的だったが、全国の理想の学校を見てしまったこともあり「ワクワクする方を選ぼう、人生は冒険だ!」とオルタナティブスクール開校を決断。それと同時期に、同じように学校を作ろうとしていた山下さん、山本さんと運命的に出会い、意気投合し、現在は3人で運営をしています。

ありのままの自分から自分の「こたえ」を導きだすサポートをする


3人でつくった学校には、現在プレスクールとして5才から19才のこどもたちが通っています。理念は「わたしの「こたえ」を創る」というもの。

その根底には、こどもたちにまず必要なのが、安心できる場所というもの。そのため、安心してありのままになれる場所にするというのを一番大切にしています。例えば、全員集合の会議でも参加する自由/参加しない自由を設けています。

「自分自身の気持ち」から行動が出てくることを大切にしているからこそ、自分で決めて行動した結果についても、受けとめられる土壌が育っていくことを実感している秋篠さん。もし失敗したとしても「次にこれを試そう!」という流れが生まれるるので、このサイクルを繰り返すことで「安心できる自由」が少しずつ大きく育っていきます。それが「自分のこたえ」を創るための土壌として広がっていくのが、ここのねのかたちです。

そんなここのねでは、普通の学校とは異なる方法で、3つの学びを用意しています。主な特徴は、体験活動となるプロジェクトが中心で、テストや宿題がないこと。なので、算数なども「フリーマケットをするのでお金の計算が必要になった!」と必要になるまで教えません。普段こなすカリキュラムについても、こどもたちが自ら作っています。

①クリエイター制度
お金のか稼ぎ方から、英語、音楽、クリエイターなど愉快な大人たちを外部講師としてファイリング。それをこども達がみて、自分たちで連絡からお支払いする代金やどれぐらいの時間きてもらうのかも決めて学ぶ。

②プロジェクト型
やりたいことをやるための、問いから学びが始まる総合的な時間。「料理屋をやりたい!」「フリーマケットをやりたい!」などの好奇心から「それには何が必要?」「どんなことをする必要がある?」と問いを広げ、自分たちで解決をしていく。

③単位履修型
学習頻度もこどもたちの成長のひとつの目安。こどもたち自身が自分で進め、すごろくのように「これは終わった!」と達成感が感じられるすごろくのような仕組みをつくっている。

ここのねはみんなのサポートから出来上がった場所


そんなここのねが教室として使っているのは、元酒蔵。
SNSで繋がった方からお譲りいただいたもので、近所のおじいちゃんやこども達に手伝ってもらいながら完成しました。ペンキを塗ったり、棚を作ったり自分たちで全てをつくった出深い場所になっています。そして、備品や家具、本なども、全て全国からの寄付で成り立っています。

最終的には、お母さんたちがここで企業をして、こども達が学ぶ場を作りたいと話す秋篠さん。挑戦はまだまだ始まったばかりです。


学生でも地域や社会に貢献できる

現在大分大学経済学部に通う大学2年生の三浦さん。高校時代にクラウドファンディングを使いながら、コーヒーの麻袋を再利用したペンケースを作り届ける事業をかたちにした経験を共有してくれました。


始まりは高校のジョブシャドウイングでした。ジョブシャドウイングとは、企業に赴き、半日〜1日ほど影のように張りついて同行し、企業や社員がどのような仕事をしているかを観察して学ぶ体験学習のこと。そのジョブシャドウイングで出会ったのが三洋産業でした。

三洋産業はコーヒー関連の事業をを手がける会社です。もちろん、コーヒー豆の輸入販売も行なっています。三浦さんがジョブシャドウイングの最中に目を留めたのは、コーヒー豆が入られてくる麻袋。国や地域、豆の種類ごとに変化する、おしゃれなデザインにワクワクしました。

「この麻袋は、なにか使い道はあるんですか?」と思わず質問するも「これは特にないんです…。捨てることが多いです。」という返答に心がざわつきました。

コーヒーの一部として海外で制作された麻袋がこのまま捨てられてしまうのは悲しいし、もったいない。その気持ちをきっかけに、麻袋のリサイクル方法を考えはじめました。

今までにないもの、誰もが使えるものはなんだろう?という考えから、巻物型のペンケースを考案。三洋産業や地域の会社と何度も試行錯誤をして作ったペンケースは、地元紙にも取り上げられ、用意していた100個はあっという間に売り切れました。


そして「話題作りとしてペンケースの売り上げを発展途上国への教育支援として使って見たら?」の一言を気かっけに、得た収益を発展途上国へ還元する方法を模索。見つけたのは、インドネシアの孤児院でした。

ペンケースの売り上げから合計100セットの文房具セットを送付すると、こども達から動画が届きました。そこには心からの「ありがとう」が込められており、今までの苦労が吹き飛ぶほど、三浦さんの心を鋭く動かすことに。このままこの企画を終わらせたくないという想いが湧きはじめ、ついにはクラウドファンディングを使い、この活動をさらに広げる活動を開始します。

けれど、クラウドファンディングでは想像以上の壁が立ちはだかりました。


応援者への声かけがうまくいかずに、寄付額が伸びず最初の段階でつまずいてしまいました。ページの構成も悪くページを見てもらえても、応援がもらえないこともありました。

すでにたくさんのプロジェクトを見てきた、目も感度も高い応援者の心に届くためには「どうしたら最後まで読んでくれるのか」「どんな写真であれば想いが伝わるのか」を必死で考える日々が続きました。
応援してくれる人が少しでも安心感を持てるように「どんな取り組みをしているのか」「これからどんな活動をしていくのか」を配信したり、自分の気持ちを伝えるために、応援者へとダイレクトメッセージを送ることで、共感を募るなど、地道な作業を続けました。

そんな地道な活動を通して、自分の気持ちが変化していったという三浦さん。クラウドファンディングでは、応援してくれた方へとリターンを返すことが多いですが、三浦さんも応援者へと同じようにリターンを返す予定でした。

開始当初は「ただ送ればいいや」と考えていたが「自分の収入が減っても応援したい」と思ってくれている方が応援してくれる現実を知り「本当にお礼の気持ちを伝えられるものをいれたい」と思うようになったそう。今回は、応援者の一人ひとりに一言メッセージを書いて送る予定です。


この活動を通して三浦さんが強く学んだことは「学生の私たちでも地域や社会のために何かできることがある」「一見無理そうなことでも自分たちが動けば実現する」「人とのつながりの大切さ」の3つだと教えれくれました。

「これからも他の人と違ったことをやっていきたい」と語る三浦さんの瞳は力強く輝いていました。





まさに越境(EKKYO)


本当にやりたいと思ったことや必要だと思ったこと、誰かのためになりたいと思ったことを、まっすぐな気持ちで活動しているのが印象的な3人。元々のご自身のフィールドに縛られることなく、越境することで新し可能性、新しい道をどんどん開いています。変化の激しい時代の中で、越境を通じて、人とのつながりや新しい発見を自ら探求することはとても大切な一歩だと感じます。



温泉と県民性のつながり

実は事務局の者はOita Innovation Collegioに講師としてお招きいただきワークショップをさせていただいたとも。東京からひょっこりやって来たのにも関わらず、みなさんとてもオープンで、あっという間に打ち解けてしまいました。日本一の温泉県である大分・別府は古くからの歴史ある観光地ということもあり、県外/海外からの旅行者も多く、おもてなし精神が高いんだそうです。なるほど!他県からの人に慣れているし、それが経済の柱になっていることを考えれば、みなさんいつも笑顔でフレンドリーで和気藹々としているのに納得しました。


大分県民ならではのアクション

オープンマインドでアクションすることが、大分県民ならではだなと感じました。新しいことをやり始めてみるには一人では限界があります。共感したり、一緒に手を貸してくれる仲間がいることはとても大事です。そういった面で、そもそものオープンでフレンドリーな県民性がイノベーションを起こしやすく、育みやすい環境につながっているのでしょう。今でも『九州出張があるので、ちょっと大分に寄ります』と連絡すれば、みなさん忙しいだろうに笑顔で集まってくれるんです。これはとっても嬉しいこと。そういう一つひとつのアクションの積み重ね、お互いを気遣ったり、手助けしようとすることが、イノベーションの芽に繋がっているのが大分県の特徴だと感じました。


新しい教育への課題

今回の参加者は学校の先生や教育事業に携わっていらっしゃる方、保護者としてお子さんの教育に関心を持っていらっしゃる方が多くいらっしゃいました。教育はこれからますます大きなテーマでしょう。今後は与えられる教育ではなく「何を学びたいのか、どんな人生を生きたいか」を自ら問うことができる力を育む教育が主流になってきます。秋篠さんの創られたオルタナティブスクール「ここのね 自由な学校」もそのひとつ。ただ、新しい教育現場では、まだまだ課題も山ほどあることがわかりました。従来の小中学校と同様に、修了書をもらうことができるのか、事業としての収益性や、こどもが自主的にオルタナティブスクールを選択できるかなど、乗り越えなくてはいけない壁はたくさんあります。その中でも、まずはチャレンジすること、動いてみること、その結果を受けとめ次の繋がりへ繋げていくことの大切さを教えられました。



Go!Action〜の先に見えた大分のMIRAIは?

行動に移すことはとても大事です。さらに、それによって何を得たいのか、何を社会にもたらしたいのかは、常に持ち続けるべきテーマでしょう。大分大学の三浦さんは、高校生の時にクラウドファンディングを立ち上げ、別府にあるコーヒーのフィルターやコーヒーメーカーの販売会社で廃棄されていたコーヒー豆を入れる麻袋で、文房具を制作して販売することをはじめました。文房具の制作には障害者支援施設が関わり、文房具販売で得た収益は開発途上国への支援に充てられたりと、いろんなステークホルダーとつながりながらエコシステムを構築しています。まさに、ひとつの麻袋を通じて、いろんな人にいろんな機会と価値を提供している素晴らしいプロジェクトです。ただ、作って売るという前時代的なビジネスモデルを打ち破り、価値交換のサイクルをつくり、誰もが関わるきっかけを提供することは、ニューパラダイムでのスタンダードになってくると改めて感じました。


自分の原点を見つめる大切さ

仲間をつくりながら物事を進めるためには、まず自分が何者であるか、なぜそれをやりたいのか、動機づけを明確に持って、相手や周囲、社会に伝えて行くことが必要です。今回、上野さんのお話の中に、上野さんご自身のストーリーテリングがありました。東京オリンピック・パラリンピックに向けて始まった日本全国都道府県での竹灯りリレー「みんなの想火」や、大分の好きなところをみんなが持ち寄る「ここ♡すき」など、本当に多様なプロジェクトで精力的に活動されているのですが、その想いはひとつの原点であることがわかりました。「好きと言われる大人になろう」。ひたすら想いを持って好きなことを語り、「個」が育つこと、そしてそんな大人の背中を見て「子」が育つこと。みなさん、自分の原点を認識し、自分が好きなこと、想いを持つことをまっすぐに語ることができるでしょうか。今一度自分の原点を見つめながら、自分が好きなこと、やりたいこと、理想とするビジョンへと、ゲストスピーカーからもらった勇気をもとに、最初の一歩を力強く踏み出しましょう!